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センターの6次化事例
2019年1月24日

『東北初の「和紅茶」で、東北を元気にしたい。』


事例18


有限会社ファーム・ソレイユ東北
お茶のあさひ園
日野 朱夏(あやか)さん

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日野朱夏(あやか)さん

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東北生まれの緑茶葉で作った紅茶「kitaha」
震災のイメージを払拭したい、石巻から東北を元気にしたいと取り組んだ、東北初の「和紅茶」。

 

『東北初の「和紅茶」で、東北を元気にしたい。』

事業者:日野 朱夏(あやか)さん (石巻市)

主な販売先:お茶のあさひ園、石巻ASATTE、パーラー山と田んぼ、松島温泉 湯元 松島一の坊 内お土産処「南三陸いちばん屋」、
仙台PARCO PARCO2   5階 東北スタンダードマーケット

6次産業化への取組:桃生茶(ものうちゃ)を原料とした東北初の和紅茶を商品開発。

取組後の成果:6次化の一連の取り組みを通して人脈が広がった。また、その人との繋がりの中から、今回開発に取り組んだ「kitaha」の商品としての新たな可能性も見出されており、販路の拡大にも繋がっている。

 

※石巻市6次産業化・地産地消推進センターを、
 以下より「6次化センター」と表記いたします。

 

 


6次化センターへのご相談のきっかけ


『桃生茶を原料にした「和紅茶」で石巻を元気にしたい!』

北限のお茶として、伝統的に作られてきた「桃生茶」を原料に、「和紅茶」を作りたいということで、6次化センターに相談しました。

きっかけは東日本大震災です。大きな震災被害を受けた石巻を何とか明るく元気にしたいと思い、古くは伊達政宗が栽培を奨励したと言われる北限のお茶「桃生茶」をシンボルに、6次化にチャレンジしようということになりました。

桃生茶を原料とした紅茶に着目したのは、若い世代にも受け入れてもらえるお茶にしたかったからです。桃生茶というとやはり緑茶のイメージ。しかし、若い人たちには緑茶の文化があまりありません。そこで「桃生茶」を原料に「和紅茶」にすれば、若い世代にも受け入れられ、お茶の文化を広げることが出来るのではと考えました。

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北限のお茶「桃生茶」の茶畑

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「桃生茶」の茶葉
これを使い、東北初の「和紅茶」作りにチャレンジした。

 


日野さんと6次化センターの取り組み内容


『チャレンジショップへの参加が商品の可能性を広げた』

和紅茶「kitaha」および関連商品のクッキーや琥珀糖を作るにあたり、6次化センターの支援員からは品質管理のアドバイスや、商品コーディネートをしていただきました。また、できあがった商品を携え、6次化センター主催のチャレンジショップにも参加しました。6次化センター主催のチャレンジショップは「いしのまき元気いちば」内にブースを設けて行っていますが、これがきっかけとなり「いしのまき元気いちば」で商品を常設していただけることが決まりました。また、ここへお買い物にこられた旅館の土産物店の店長さんに商品を気に入っていただき、現在は温泉旅館のお土産屋さんにも商品を置いていただいています。このイベントへの参加が販路開拓に大きく繋がっています。

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チャレンジショップ出店時の様子。

 


6次産業化に取り組んだ成果


 『人との繋がりが、また次の出会いを。そして「kitaha」の可能性も広がっている。』

まずは「kitaha」シリーズ(和紅茶、お菓子)を作り上げることが出来たことです。思い入れの強い商品なので、商品として形にできたことは非常にうれしく思っています。

また、「いしのまき元気いちば」との繋がりをきっかけに、旅館などとも繋がりを持つことができました。このように販路が広がっていることが成果となっていることはもちろんですが、この根っこには、人との繋がりがあると思っています。繋がって、繋がって…を繰り返しながら、これまで関わりの無かった業界の方とも繋がりを持つことができました。そしてそこから、また新たな「kitaha」の可能性を見つけ、育むことができ、多くの方に商品を手に取っていただくことに繋がっているように思います。

 


6次化への取り組みで苦労する点


『初めての「加工」が難しかった』

 生産、加工、販売、どれも大変だと思いますが、私たちは特に初めての茶葉加工に苦労しました。和紅茶にするにあたり、加工の名人の方がいる静岡まで茶葉を運ばなくてはならないのですが、実はこの輸送途中に茶葉が全滅してしまうこともありました。茶葉は生き物なので、熱を帯びてしまいます。この熱により茶葉がダメージを受け、使い物にならなくなってしまい、加工できないことも…。ではクール便で輸送してみよう、そう思いトライしたこともありましたが、今度は冷凍焼けを起こしてしまいました。どうすればベストな状態で加工にまで持って行けるのか、あれこれ試行錯誤し、今は扇風機の風で熱を逃がすよう改良を加えた運搬用の社用車で静岡に持込み、加工することに成功しています。

 生産においても、これまでやってきた父のやり方、考え方と自分の感覚の違いにはプロジェクトを進める上でちょっとしたやりづらさがありました(笑)。コンセプトが若い世代うけする商品だったので、60代の父の経験や考え方と、自身の感覚を融合させていく作業には多少時間がかかりました。そして「kitaha」を使ったお菓子の開発に関しては、私がゼロから携わっているのですが、ゼロから生み出す大変さもすごく感じました。

 また販売においては、これまでお茶屋としてやってきた実績はあるものの、「kitaha」のターゲットが、これまでのお茶屋のあさひ園の既存顧客と同じではないという点で、販売にも工夫が必要でした。「kitaha」は、ちょっとオシャレなものが好きという若い女性などをターゲットとしています。なので、これまでの販路から飛び出し、仙台のオシャレな商業施設に置いていただいたり、自分たちで新たな世界に足を踏み入れ、少しずつ販路を拡大していくことにも苦労しました。しかし最近では、全国区の観光情報雑誌やライフスタイル情報誌などにも取り上げていただき、自分たちの足で稼いだ成果として実を結び始めています。

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茶葉加工の様子。

 


販売商品への想い・こだわり


『「kitaha」を通して、石巻、宮城、東北に元気を』

 「kitaha」で元気を。これが一番の想いです。この商品をきっかけに、石巻に足を運んで下さる方が増え、石巻=震災から、新たな石巻の良さや、笑顔を届けることができたらと思います。「kitaha」を手に取ってくださる方も、またその作り手である私達も、みんなが幸せであることが理想ですね。そしてそれを、石巻から宮城、東北とどんどん波及させていきたいです。

今後は、ずっと構想段階から頑張ってきた父の想いも商品に詰め込み「kitaha」を石巻のお土産の代名詞と言っていただける商品に成長させていきたいす。また、石巻に加工場を設け、生産、加工、販売の全てを石巻で行っていけたらいいなとも思っています。食べる「kitaha」、着る「kitaha」(詳細は企業秘密です!)…いろんなモノやコトがアイディアとしてあるのですが、そういったものを少しずつ実現していきたいです!


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茶摘みは家族総出で行う。
朱夏(あやか)さん(中央)、社長であるお父様(右)、お母様(左)。

 

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「kitaha」の商品ラインナップ
茶葉は通常商品(20g)の他に、使いやすいティーバッグショートパウチ
(2g×5P)も開発。「kitaha」の茶葉を使用し開発したお菓子は、クッキーや琥珀糖。「kitaha」を飲みながら楽しめる味わい。

 


6次産業化を検討している方々に伝えたいこと


『経験することのなかった世界を広げることができます』

 お茶屋として販売の現場は見てきましたが、生産や加工の現場を見ることは初めてで、経験することのどれもが良い刺激となっています。当然、生産・加工・販売の全てをやるのは簡単なことではないですが、一連の経験を通して、人脈も大きく広がり、また驚くことに、自分の性格も変わったように感じます。私は今26歳ですが、普通に会社員をしていたら、経験することのなかった経験をたくさんしているように思います。今、6次化を検討されている方も、まず一歩踏み出してみることをおすすめします。これまでの世界とは違う経験ができますよ。

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「お茶のあさひ園」お店の外観。

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お店の前で。朱夏(あやか)さん(左)、お母様(右)

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今後も「kitaha」の様々な展開を行っていく。

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