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センターの6次化事例
2021年2月25日

『ガーデンを通して、雄勝にコミュニティを再生したい』


事例27


一般社団法人雄勝花物語
代表理事 徳水利枝 さん

徳水さんアップ
徳水 利枝 さん

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一社)雄勝花物語さんが開発されたハーブティー(左)と
ハーブバスソルト(右)。ハーブバスソルトは、石巻市在住のドライフラワー作家 工藤綾子さんとのコラボ商品。

 

『ガーデンを通して、雄勝にコミュニティを再生したい』

事業者:徳水 利枝 さん(石巻市)

主な販売先:自店舗、雄勝観光物産交流施設たなこや
      いしのまき元気いちば

6次産業化への取組:一社)雄勝花物語が運営する雄勝ローズファクトリーガーデンで栽培したハーブ類のドライ製品を使用し、「ハーブティー」と「ハーブバスソルト※」を開発した。※ドライフラワー作家の工藤綾子さん(石巻市)と連携開発

取組後の成果:ハーブ栽培の体験、研修、ボランティア等を通して、県内外問わず、ガーデンや、雄勝に足を運んでくださる方が増えた。また、それが震災の記憶・記録を語り継ぐきっかけになっている。

※石巻市6次産業化・地産地消推進センターを、以下より「6次化センター」と表記いたします。

 


6次化センターへのご相談のきっかけ


『コミュニティ再生のツールとして、
          ガーデンの花を活用し何かできないか』

 いつも顔を合わせていた6次化センターの方から、「徳水さんのガーデンの花を使って、商品を作ってみませんか」と声をかけていただいたのがきっかけです。

 私たちがガーデン運営の軸としているのは、ガーデンを通し、震災の経験やその後の石巻・雄勝のことを語り継ぎ、この地に再びコミュニティを作ることです。当時はこれらに向けて、地域のお母さんたちと一緒に、ガーデンの花を使って何かできないかと考えていたところでした。そこで、私たちの活動理念を実行するための1つの「ツール」として、ガーデンの花やハーブを使った、商品づくりにチャレンジしてみることにしました。

 


徳水さんと6次化センターの取り組み内容


『ハーブを使った商品開発、他事業者との連携』

 6次化センターの支援員の方にサポートしていただきながら、「ハーブティー」「ハーブバスソルト」の2商品の開発に挑みました。まずは、「商品開発とは」という基本的なことからレクチャーしていただき、同時並行で具体的にどんな商品に仕上げていくのか、構想を練りました。

 ハーブティーについては、もともとガーデンのカフェスペースでフレッシュハーブティーを提供しており、大変ご好評をいただいていました。しかし、このコロナ禍でカフェでの飲食物提供がなかなか難しい状況となり、この場に来られない方にも何かガーデンを感じていただけるものをお届けできないだろうか、という考えから今回のハーブティー製造に至りました。

 またハーブバスソルトに関しては、石巻在住のドライフラワー作家 工藤綾子さんと連携して商品を形にしていくことを支援員の方にご提案いただきました。初めての他事業者の方との連携でしたが、2者の想いや考えを支援員の方にコーディネートしていただき、私が商品の原料となるハーブや花の栽培・乾燥調製を担当、工藤さんが原料の調合や商品の仕上げ作業を担当ということで役割分担をして進めることになりました。

 


6次産業化に取り組んだ成果


『雄勝に人が集うきっかけに』

 先にも述べましたが、今回の商品づくりは震災を語り継ぎ、雄勝に再び交流人口を呼び戻すために始めたものです。現在、ハーブティーの原料となる花やハーブの乾燥調製作業は、地域のお母さんたちに来ていただいて行っています。そのお母さんたちは、ここへ集まることをとても楽しみにしてくださっています。その様子を見ると、「あぁ、やってよかったな」と思います。足元の小さなコミュニティですが、

 当ガーデンは、体験や研修、ボランティアなどの受け入れも行っていますが、定期的に訪れてくださる県内外の方々も少しずつ増えてきています。こういったコミュニティの定着は、我々の歩みの1つの成果として、自信につながるものになっています。

 今後も、石巻・雄勝の震災と今を発信しながら、無理のない形で新たな商品づくりや、ガーデンを使った体験活動等を続けていきたいと考えています。

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ガーデンのハウス内には、震災の記録やこれまで 一社)雄勝花物語さんが歩まれてきた記録が写真パネルとともに紹介されている。パネル前でインタビューに応じてくださった徳水さん。

 


6次産業化への取り組みで苦労する点


『栽培したものの加工、そして販売の難しさ』

 私たちは、栽培に関してはこれまでもやってきました。しかし、ガーデンで育った花やハーブを収穫・加工、そして販売するといった、いわゆる2次、3次の部分については未知のものでした。実際、今回の商品開発を通してそれらに取り組んでいますが、勉強不足であることを実感しています。特に、マーケティングにおいては、誰にどのように売ればいいのか、在庫管理をどのようにすればいいのか、じっくり勉強する時間をとれず、これが現在の課題であると認識しています。

 ハーブティー、ハーブバスソルトの開発を、スピード感を持って取り組み、きちんと形にできたことは大きな成果と感じていますが、今後は加工、販売について今一度勉強をしながら、商品だけでなく、自身の6次化の取り組み自体をブラッシュアップしていけたらと思います。

 


販売商品への想い・こだわり


『安全・安心なものを届けたい、
    そして商品を通し雄勝に再びコミュニティを』

 ハーブティー、ハーブバスソルトの原料であるローズやハーブは、農薬を使わず有機肥料で育て、丁寧に手摘みしています。商品を手に取ってくださる方々が安全・安心のもと、この優しい香りと彩りを楽しんでくださることを願いながら日々作業をしています。

 また今後は、これらの商品を手に取っていただき、それをきっかけに雄勝に足を運んでくださる方が今以上に増えると良いなと思っています。これはガーデンをオープンした当初からの想いですが、当ガーデン、またここから生まれた商品が、雄勝の交流人口を増やし、雄勝の震災、今を知っていただくきっかけになってほしいと考えています。

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雄勝のお母さんたちが1つ1つ手摘みしたハーブ等を使ったハーブティー

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雄勝ローズファクトリーガーデン内の物販スペース

 


6次産業化を検討している方々に伝えたいこと


『“モノづくり“は“コミュニティづくり”』

 今や6次化も多岐にわたりますが、6次化の取り組みとして「商品をつくる」ということを考えられる方が多くいると思います。私は、このモノをつくるということは、「コミュニティづくり」にもなると考えています。

 私たちの雄勝をはじめ、石巻は震災をきっかけにコミュニティの多くが崩壊し、未だそれが崩壊したままの地域も多く、これが今大きな課題となっています。そこで、コミュニティ再生の新たな方法として、モノづくりも有効であることを多くの方に知っていただきたいです。そして、それが持続可能であれるよう、ゆっくり時間をかけて進めてほしい、また自身もそのように活動していけたらと考えています。

雄勝ローズファクトリーガーデンさんカバー写真
一社)雄勝花物語さんが運営する雄勝ローズファクトリーガーデン

バラ  グリーン
ガーデン内は、四季折々様々な花や木々が彩っている

オリーブ1  オリーブ2
現在はオリーブも栽培しており、今後オリーブの商品化も検討されている

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