14 地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律の運用について

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14.地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律の運用について

地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律の運用について(通知)
22総合第 1741号
22生産第10759号
22農振第2106号
国都開第10号
平成23年3月29日
一部改正 平成23年8月31日 23生産第4304号

【第1 農業改良資金融通法等の特例関係】
<1 特例の趣旨>
地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律(以下「法」という。)第9条から第11条までに規定する農業改良資金融通法(昭和31年法律第102 号)、林業・木材産業改善資金助成法(昭和51年法律第42号)及び沿岸漁業改善資金助成法(昭和54年法律第25号)の特例は、農業改良資金、林業・木材産業改善資金及び経営等改善資金(沿岸漁業改善資金助成法施行令(昭和54年政令第124 号)第2条の表第1号から第7号までに掲げる資金に限る。)(以下「農業改良資金等」という。)の貸付けを受けることができる者として、認定総合化事業計画に従ってそれぞれ法第5条第4項第1号から第3号までに掲げる措置を行う促進事業者(同項第1号に掲げる措置を行う促進事業者にあっては、株式会社日本政策金融公庫法(平成19年法律第57号)第2条第3号に規定する中小企業者に限る。)を追加するとともに、認定農林漁業者等が認定総合化事業を行うのに必要な農業改良資金等の償還期限又は償還期間及び据置期間を延長するものである。

<2 貸付資格の認定等>
農業改良資金等の貸付けを受けようとする者は、農業改良資金融通法第6条第1項(同法第8条第2項において準用する場合を含む。)、林業・木材産業改善資金助成法第7条第1項(同法第12条第2項において準用する場合を含む。)又は沿岸漁業改善資金助成法第8条第1項等の規定により、当該貸付けを受けることが適当である旨の都道府県知事の認定等(以下「貸付資格の認定等」という。)を受けなければならない。認定総合化事業を行うのに必要な農業改良資金等の貸付けを受けようとする認定農林漁業者等は、当該認定総合化事業の実施により当該認定農林漁業者等(当該認定農林漁業者等が促進事業者である場合にあっては、その促進事業者に係る認定総合化事業を行う農業者、林業者又は漁業者)の農林漁業経営の改善が行われるものとして法第5条第1項又は第6条第1項の認定を受けたものであるため、当該認定農林漁業者等に対する貸付資格の認定等に当たっては、当該認定総合化事業の円滑な実施に配慮することが望ましい。


【第2 農地法の特例関係】
<1 特例の趣旨>
法第12条に規定する農地法(昭和27年法律第229 号)の特例は、認定総合化事業計画又は認定研究開発・成果利用事業計画に従って行う農地の転用及び農地又は採草放牧地の転用のための権利移動について、別途農地法第4条第1項又は第5条第1項の許可の申請を行うことを要しないものとし、申請を一本化することにより、手続の簡素化を図るものであり、農地の転用及び農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限を緩和することを趣旨とするものではない。このため、都道府県知事は、法第5条第7項(法第6条第4項において準用する場合を含む。以下同じ。)又は第7条第5項(法第8条第4項において準用する場合を含む。以下同じ。)に規定する事項が法第5条第7項各号(法第7条第5項後段において準用する場合を含む。)に掲げる要件に該当するものであることについて、「農地法の運用について」(平成21年12月11日付け21経営第4530号、21農振第1598号農林水産省経営局長、農村振興局長通知)第2の1及び4の規定に留意しつつ、農地法第4条第2項及び第5条第2項の規定が適用される場合と同じ基準をもって審査を行うべきものである。

<2 同意の手続>
(1)都道府県農業会議等の意見の聴取
都道府県知事は、法第5条第7項後段(法第7条第5項後段において準用する場合を含む。以下同じ。)の同意をしようとするときは、地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律施行令(以下「令」という。第1条の規定により、あらかじめ、都道府県農業会議及び関係する農業委員会(農業委員会等に関する法律(昭和26年法律第88号)第3条第1項ただし書又は第5項の規定により農業委員会を置かない市町村にあっては、市町村長。以下同じ。)の意見を聴かなければならない。その際、令第1条の都道府県農業会議の意見の聴取は、「農地法の運用について」第2の2及び5の規定に留意して行うことが適当である。また、農業委員会は、令第1条の規定により都道府県知事から意見を聴かれたときは、総合化事業計画又は研究開発・成果利用事業計画の記載事項等を検討して意見書を作成し、これを都道府県知事に送付するとともに、当該意見書の写しを保管することが適当である。また、意見書の決定の際、特に問題があるものとして討議又は質疑が行われた事項があるときは、関係する議事録の写しを当該意見書に添付することが適当である。
(2)同意に係る土地の所在等の記載
都道府県知事は、法第5条第7項又は第7条第5項の協議に対し書面により回答を行うとともに、法第5条第7項後段の規定により同意をするときは、不動産登記法(平成16年法律第123 号)の規定による登記の申請において必要となるため、当該書面に当該同意に係る次に掲げる事項を記載することが適当である。
① 地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律施行規則第3条第2項第5号イ(1)若しくは(2)に掲げる者又は地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律に基づく研究開発・成果利用事業計画の認定等に関する省令第2条第2項第4号イ(1)若しくは(2)に掲げる者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地並びに代表者の氏名)
② 土地の所在、地番、地目及び面積
③ 法第5条第7項又は第7条第5項に規定する事項に係る農地又は採草放牧地を農地又は採草放牧地以外のものにするためこれらの土地について所有権又は使用及び収益を目的とする権利を取得する場合には、権利を設定し、又は移転しようとする契約の内容
④ 法第5条第3項又は第7条第3項の施設の種類
(3)理由の付記
行政手続法(平成5年法律第88号)第8条第1項の規定により、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならないため、都道府県知事は、法第5条第7項又は第7条第5項の協議に対し、同意をしないときは、その理由を、当該協議に対する回答に係る書面に記載することが適当である。このため、都道府県農業会議及び関係する農業委員会は、令第1条の規定により都道府県知事から意見を聴かれた場合であって、法第5条第7項後段の同意が適当でないと認めるときは、その理由を付して意見を述べることが適当である。


【第3 都市計画法の特例関係】
<1 特例の趣旨>
市街化調整区域内において、農林水産物等の販売施設の建築の用に供する目的で行う開発行為(都市計画法(昭和43年法律第100 号)第4条第12項に規定する開発行為をいう。以下同じ。)又は市街化調整区域内において農林水産物等の販売施設を新築し、若しくは建築物を改築し、若しくはその用途を変更して農林水産物等の販売施設とする行為(以下「建築行為」という。)については、本来であれば、同法第34条第14号又は都市計画法施行令(昭和44年政令第158 号)第36条第1項第3号ホの規定により、開発審査会の議を経ることが必要であるが、法第14条に規定する同法の特例により、当該各行為が令第2条に規定する農林水産物等の販売施設に係るものである場合であって、都道府県知事(指定都市、中核市又は特例市(以下「指定都市等」という。)の区域内にあっては、その長。3及び4並びに第6の2において同じ。)が、当該各行為が当該開発行為をする土地又は当該建築行為に係る法第5条第3項の施設の敷地である土地の区域の周辺における市街化を促進するおそれがなく、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認めて同意をするときに限り、開発審査会の議を経ることを不要とするものである。なお、この特例は、都市計画法第33条第1項各号又は都市計画法施行令第36条第1項第1号及び第2号に掲げる基準に係る審査までを省略するものではない。

<2 特例の対象施設>
この特例の対象となる農林水産物等の販売施設(以下「対象施設」という。)は令第2条に規定されており、具体的には、地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律施行令第二条の農林水産大臣及び国土交通大臣が定める農林水産物等の販売施設を定める件(以下「告示」という。)第2条各号に掲げる要件に該当する施設とされている。この特例の対象とならない農林水産物等の販売施設又はレストラン等の飲食店、農林水産物処理加工施設その他の農林水産物等の販売施設以外の施設が併設され、一体として整備されると認められる農林水産物等の販売施設は、対象施設ではないため、その整備として行われる開発行為又は建築行為については、それぞれ都市計画法第34条各号又は都市計画法施行令第36条第1項第3号に掲げる基準に係る審査を個別に行う必要がある。また、告示第2条各号は、あくまで対象施設の要件を定めているものであり、都市計画法第34条第14号又は都市計画法施行令第36条第1項第3号ホの規定に係る審査基準として、開発行為又は建築行為に係る農林水産物等の販売施設の規模、販売内容等について数値等を設定した基準が既に定められているとき又はこれを定めようとするときに、当該数値が告示第2条各号に掲げる数値に合致するように当該基準を定め、又はこれを変更すべきものとして誘導する趣旨のものではない。

<3 同意の手続>
(1)同意審査
都道府県知事は、法第5条第8項後段の同意(法第6条第4項において準用する法第5条第8項後段の同意を含む。以下同じ。)に係る審査(以下「同意審査」という。)においては、都市計画法第34条の規定の趣旨及び「開発許可制度運用指針」(平成13年5月2日付け総民発第9号国土交通省総合政策局長通知)Ⅲ-7-1の規定を十分踏まえ、同意審査の基準(以下「同意基準」という。)を定めることを通じて、地域の実情に応じた運用を行うことが望ましい。
(2)理由の付記
行政手続法第8条第1項の規定により、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならないため、都道府県知事は、法第5条第8項(法第6条第4項において準用する場合を含む。以下同じ。)の協議に対し書面により回答を行うとともに、同項の協議に対し、同意をしないとき又は同意に条件を付するときは、その理由を当該書面に記載することが適当である。

<4 関係機関の連携等>
(1)同意基準の送付等
都道府県知事が同意基準を定めたときは、当該都道府県(指定都市等の区域内にあっては、当該指定都市等。以下4において同じ。)は、法第5条第1項及び第6条第1項の認定の申請手続が円滑に行われるよう、あらかじめ地方農政局、北海道農政事務所又は内閣府沖縄総合事務局(以下「地方農政局等」という。)にその同意基準を送付しておくことが望ましい。地方農政局等は、あらかじめ都道府県からその同意基準の送付を受けている場合にあっては、当該都道府県の区域内においてこの特例の適用を受けることを希望している農林漁業者等に、当該同意基準を提示するとともに、当該農林漁業者等の作成した法第5条第8項に規定する事項が記載されている総合化事業計画の案について、当該同意基準に照らして同項後段の同意が得られないと見込まれるときは、その旨を当該農林漁業者等に教示すること等により当該農林漁業者等の利便を図るよう努めることとしている。
(2)総合化事業計画の案の送付等
地方農政局等は、法第5条第8項に規定する事項が記載されている総合化事業計画の案の提出があったときは、(1)の教示等を行った上で、遅滞なく、当該案を関係都道府県に送付することとしており、当該都道府県は、当該案の送付があったときは、同項の協議が迅速かつ円滑に行われるよう配慮することが望ましい。


【第4 農地法の特例と都市計画法の特例との調整関係】
法第5条第7項後段の同意と同条第8項後段の同意との調整については、「農地法に係る事務処理要領」(平成21年12月11日付け21経営第4608号、21農振第1599号農林水産省経営局長、農村振興局長通知)第4の1の(7)のイ並びに「開発許可制度運用指針」Ⅱ-4-(1)-①及び(2)-③に準じて行うことが適当である。


【第5 都道府県及び市町村の促進計画関係】
<1 促進計画の策定>
都道府県及び市町村は、地域の農林水産物の利用の促進に関し、その区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施するため、「農林漁業者等による農林漁業及び関連事業の総合化並びに地域の農林水産物の利用の促進に関する基本方針」(以下「基本方針」という。)第2章及び第3章の規定を勘案するとともに、その区域の実情を踏まえ、法第41条第1項の促進計画を定めるよう努めなければならない。促進計画を定めるに当たっては、生産者、事業者、消費者、学校給食関係者等の多様な主体と連携するとともに、その意見を促進計画に反映することが望ましい。また、都道府県は、促進計画を策定する市町村に対し、必要に応じて助言を行うことが望ましい。

<2 促進計画の内容>
促進計画は、法第26条から第33条までに定める地域の農林水産物の利用の促進についての基本理念にのっとり策定することが適当である。また、都道府県及び市町村は、法第3章第3節並びに基本方針第2章の第3並びに第3章の第1及び第2の3に定める施策のうちから、その区域の実情に応じたものを促進計画の内容に含めることが望ましい。

<3 目標の設定>
都道府県及び市町村は、その区域の実情を踏まえ、促進計画において地域の農林水産物の利用の促進の目標を明確に設定することが望ましい。また、当該目標として、食育基本法(平成17年法律第63号)第16条第1項の食育推進基本計画に定める学校給食における地場産物の使用割合に関する目標の達成に資するものを設定することが望ましい。

<4 促進計画の見直し>
都道府県及び市町村は、促進計画について、その区域の実情又は3の目標の達成状況に応じて適宜見直しを行い、必要がある場合は、促進計画を変更し、又は新たに促進計画を定めることが適当である。

<5 促進計画の公表等>
法第41条第2項の規定により、都道府県及び市長村が促進計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。また、市町村は、促進計画を定め、又はこれを変更したときは、これを都道府県に通知することが望ましい。同時に、都道府県は、促進計画を定め、若しくはこれを変更したとき、又は市町村から促進計画を定め、若しくはこれを変更した旨の通知を受けたときは、これを地方農政局長(北海道にあっては農林水産省食料産業局長、沖縄県にあっては沖縄総合事務局長)に通知することが望ましい。

<6 促進計画に定めた施策の実施>
都道府県及び市町村は、促進計画に定めた施策の実施に際しては、当該都道府県及び市町村の各種施策との連携を図るとともに、当該都道府県及び市町村内の農林漁業の振興を担当する部局、商工業の振興を担当する部局、教育行政を担当する部局その他の関係部局相互間の連携の確保、普及指導員による普及指導活動の活用等により、地域の農林水産物の利用の促進に実践的に取り組むことが望ましい。


【第6 促進計画の趣旨に適合する直売所の設置の促進関係】
<1 農地法の規定による許可>
都道府県知事は、法第42条第2項及び基本方針第2章の第3の1の(2)の規定に基づき、土地を促進計画の趣旨に適合する直売所の用に供するため求められた農地法の規定による許可について、その申請者の便宜を図るため、次に掲げる事項に留意して行うことが適当である。
(1)申請者から事前に案件を相談された場合には、当該案件が構想段階のものであっても、丁寧に対応すること。また、申請に対する審査に際して、各種調査等に時間を要することが見込まれる場合には、できるだけ速やかに手続が行われるよう、事前に想定される調査項目等を申請者に対し教示すること。
(2)申請の内容が許可の基準等に合致しない場合であっても、代替措置により直売所を設置することができることもあるため、申請者に対し、可能な限り、他地域における対処事例等の情報を幅広く提供すること。
(3)申請の内容が許可の基準等に合致する場合には、当該許可に係る事務を迅速かつ適正に処理し、当該直売所の設置に支障を来さないようにすること。

<2 都市計画法の規定による許可>
都道府県知事は、促進計画の趣旨に適合する直売所の用に供するために行われる開発行為であって、都市計画法第29条第1項又は第2項の許可を受けなければならないものについて、当該許可の申請があったときは、法第42条第2項及び基本方針第2章の第3の1の(2)の規定に基づき、当該開発行為が同法第33条に規定する基準(当該開発行為が市街化調整区域内において行われる場合にあっては当該基準及び同法第34条に規定する基準)に適合するかどうかの審査に当たって、その手続を迅速に行う等適切な配慮をすることが適当である。このことは、市街化調整区域のうち都市計画法第29条第1項の規定による許可を受けた開発区域以外の区域内において、促進計画の趣旨に適合する直売所を新築し、又は建築物を改築し、若しくはその用途を変更して当該直売所とする行為であって、同法第43条第1項の許可を受けなければならないものが都市計画法施行令第36条第1項に規定する基準に適合するかどうかの審査についても同様である。

<3 関係部局間の連絡調整>
同一の案件について、農地法の規定による許可の申請及び都市計画法の規定による許可の申請がなされたときは、当該各許可に係る事務を担当する部局間において、あらかじめ相互に連絡し、速やかに調整を図るとともに、当該調整を了した後に同時に処分を行うことが望ましい。